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2023.07.05
事業承継に家族会議が必要な訳
目次
なぜ家族会議が必要なのか
失敗してしまう事業承継に、家族会議を開かずに社長の独断で全てを決定して事業承継を進めて結果として家族の反発を招きトラブルの元になりかねません。同じ職場で兄弟が仕事をしているような場合に、長男よりも次男の方が、経営者としての資質が高いと判断して、社長の独断で次男を後継者として指名したと言うような場合に、長男の心情はどうでしょうか、同じ職場で働いている次男の部下になると言うことを素直に受け入れて貰えるでしょうか、人にもよりますが場合によっては、大きなトラブルに発展してしまうことがあるかもしれません。
家族会議のタイミングはいつでしょうか
家族会議を開くタイミングについても、よくご相談をいただきます。家族会議を開くタイミングは、まずは社長のお考えを整理して、事業承継の計画表を作成してから、ご家族に招集をかけて家族会議を開かれることが望ましいでしょう。なぜなら家族会議の議題は事業承継だけではないからです。家族会議の議題については後ほど記述しますが、先ほどの兄弟が同じ職場にいるような場合などにも、何故後継者の指名は次男なのか、その決定に対する考えをじっくり伝えることが出来るからです。次男が次期後継者として、その場合の長男の役割や分ける財産などを伝えて理解をしてもらうことが重要です。特に自社株式の移転については、経営権の移転を行うことですので分散させないように、することが重要だからです。
家族会議の議題はどう決める
家族会議の議題についても整理をして臨まれることが重要です。議題の内容は社長ご自身やご家族全体に影響があることが多いからです。事業後継については、後継者指名を行いその指名された後継者の意思の確認があります。また後継者以外のご家族には、何を分け与えるのかとか、その分け与えるものについて全員が理解をしてもらうことが重要なのです。家族会議は生前に行う遺産分割協議でもあるのです。何故そこまでと思われる方もおられるかも知れませんが、事業承継そのものが社長の財産移転でもあるからです。事業承継は経営権の移転と財産の移転から成り立ちます。自社株の評価を行うのも自社株という財産の評価です。そのため家族会議の議題は多岐に渡ることが多くなります。キチンと議題の整理をして家族会議を開くことが重要となります。
家族会議で解決できることは
事業承継も相続も一番大切にされなければならないのは、社長ご自身の想いだということは言うまでもありません。しかし、ご家族の争い事は望まない争いだと思います。そのためには家族会議で解決できることを明確にして解決しておく事が重要です。では、どのような事が解決できるでしょうか。その一つに事業を承継する後継者の指名があります。事業を任せて託す事ができる人事を決定する事業承継の第一歩です。まずは最初の議題として、社長の想いを伝えることから始めることをおすすめいたします。何故ならこの議題をしっかりと理解をしていただき、後継者として指名を受けた人にとってもこの先の重責を担う覚悟を自覚してもらいそのための準備に入れるからです。その他にはご家族の想いや考えかたを知り理解をする事ができます。
相続対策は税金対策ではない
家族会議で決められる事の中で、相続時の財産の分け方がありますが、その分け方でよくトラブルに発展する事があります。日本の相続財産の70%を不動産で保有していると言われています。そのためにどの不動産を欲しいのかで揉めてしまうと言う事が起きてしまうのです。相続対策というと節税のことをよく話題にされますが、相続税のことで揉めているのはごくわずかです。ほとんどの場合には税金で揉めるのではなく、分けにくい財産の分け方で揉めているのです。では、相続対策は何が重要なのでしょうか、相続対策は分割対策が一番重要な対策です。分けにくい財産をどうやって分けるのかを考えた対策が揉めないための相続対策です。
揉めない相続対策のためには
相続対策の相談をすると、よく言われるのが「公正証書で遺言書を残しておきましょう」と言われた方も少なくないのではないでしょうか。その際に「遺留分には十分配慮をして遺言書を作成しましょう」という注意事項をしっかりとレクチャーされて遺言書を作成した方も多いのではないかと思います。しかし、付言事項についてお話しを聞いたという方に、お会いした事が残念ながらありません。付言事項とは何でしょうか、それは、社長の想いを伝える一番大事な遺言だと思います。付言事項には何を書くのかの制限はありません。したがって、何故この分割にしたのかを想いを込めて書く事ができます。昨年7月に民法(相続法)が40年ぶりに改正されました。その中に自筆証書遺言の作成方法の改正も含まれています。これからは、遺言作成が身近になり相続が争族にならないようにするためにも活用していければと思います。
民法と相続税法の違いは
事業承継・相続のご相談をさせていただくと、よく勘違いをされていることがあります。それは、民法と相続税法の評価額の違いを理解されていないことです。例えば、不動産の評価額についての評価方法は一つではありません。しかしそのことをご存じない方とお目にかかることも多々あります。同じ土地でも相続税評価額としての評価と、遺留分の計算を行うための評価は評価額が違いますが、よく混同されている方がいるのも事実です。この評価を間違えたまま遺言書などを作成して相続が発生した場合などは、起きなくてよかったトラブルが発生してしまうなどが考えられます。評価額などについては専門家の評価をしていただくことをおすすめいたします。
家族会議で結論がでないときは
家族会議を開いてもご家族の同意が得られず結論がでないときもあります。ではその時にどうするべきでしょか、そのまま延々と同じ家族会議を開いていくべきでしょうか。社長の想いを伝えるはずの家族会議での反発はかなりの衝撃を受けられることになります。そのまま何回か家族会議を開いても毎回決まらないという同じ結論になっては意味がありません。そのような場合は思い切ってご家族以外の第3者に家族会議へ出席してもらい、あくまでも第3者として客観的な発言をしてもらうことによってご家族の同意が得られることもあります。それは、社長が信頼を置く第3者の意見としてご家族が冷静に判断をする材料になるからです。もし家族会議を開いてご家族の同意が得られないような場合、何回目かに第3者を同席させてみるのも一つの選択肢かもしれません。
家族会議へ出席する第3者は誰が良いのか
大事な相続に関することで家族会議へ出席させることができる第3者とは誰を選ぶべきでしょうか。顧問の税理士さんでしょうか、それとも顧問の弁護士さんでしょうか、それとも私のような事業承継・相続に特化したファイナンシャルプランナーでしょうか、答えは色々とあり正解はないと思います。それぞれ誰に出席依頼をしたとしてもそれぞれに、当然のこととして知りえた個人情報の守秘義務は負いますし職業倫理を全うされていると思います。そこであえて言うならばネットワークのしっかりとした方を選択されるべきではないでしょうか。それはなぜなのかと言いますと、一つの士業では全てが完結はしないからです。先に挙げた税理士さんは税務の専門家です。不動産の登記などは司法書士さんの仕事ですトラブルの解決をするためには弁護士さんのお力が必要です。後は我々ファイナンシャルプランナーですが同じように我々だけでは解決することができないことも当然あります。社長の想いを遺していくためにはネットワークを活用し解決までサポートできるところへ家族会議への出席を依頼してはいかがでしょうか。