ブログblog

2023.05.11

相続対策が必要な人とは

人それぞれの相続対策

よく私たちがご相談をさせていただく時に、相続対策はお金持ちの人のための対策であると思われている方に、遭遇致しますが本当にそうなのでしょうか。相続そのものは、お金持ちであろうがなかろうが、特別な場合を除いて全員が経験するものです。人それぞれに家族構成や財産構成に違いがあり、納税の心配はないが相続財産の分割の仕方が難しい方や、資産はあるがそのほとんどが不動産で現金はあまり準備できていないなどで、納税が必要な場合の納税資金の準備が必要な方、節税についても検討された方が良い方など、人によって相続に対する考え方や、対策そのものが変わってきます。

我が家に相続対策は必要?

先述したように、人によって相続対策が必要なのか、必要ないのか、必要であった場合はどのような対策が必要なのかを考えてみます。例えば、ご夫婦2人でお子さんがいない方などは、対策は必要ないと思われている方が多くおられます。しかし、ご家族の構成によっては対策をしておかないと、とんでもない結果を招く事があります。ご夫婦の間では、ご主人に万が一の事があったら財産は全て奥さんが相続するものとして共通の認識があったとします。まあ、普通に考えれば誰でもそう考えておかしくありません。しかし、この場合でご主人に兄弟がいたとした場合は、その兄弟も法定相続人となります。なにも対策をしておかないと、ご主人の万一の場合に残された奥さんに、ご主人の兄弟の相続分を主張されてしまうかもしれません。そうすると、もし自宅しか財産がないなどの場合に自宅に住み続ける事が困難になってしまうかも知れません。

どんな対策が必要でしょうか

上記のようなご夫婦2人のような場合は、ご主人が遺言書を作成しておくだけで解決できます。それはご主人の兄弟には遺留分という権利がないためです。遺留分とは法定相続分の2分の1を請求できる権利ですが、兄弟、姉妹にはこの遺留分がありません。したがってご主人が全財産を奥さんに遺すと言う内容の遺言書を残しておけば解決できます。遺言書は平成30年の相続法の改正により自筆証書遺言の法務局での預かり制度も令和2年の7月からスタートしています。自筆証書遺言が良いのか公正証書遺言にしておいた方が良いのかは、ご家族間の人間関係によって違ってきます。いずれにしても経験を積んだコンサルタントなどに相談して決定する事が望ましいでしょう。

どのような対策があるのか

相続の対策は、財産の構成や家族構成、家族間や利害関係者との人間関係などいろいろな状況が考えられますます。その方の状況や考え方などで検討する対策に違いが出てきます。考えられる対策を列挙してみると、まずは遺言書の作成が考えられます。遺言書も前述したように自筆証書遺言と公正証書遺言に分かれます。次に財産の分割対策として代償分割資金対策や納税資金対策、最近増えてきている家族信託を活用した対策などが考えられます。特に家族信託は、障害をお持ちのお子さんがいる場合や、ご実家で一人暮らしをしている親御さんがいる場合、会社を経営されていて後継者に自社株を移転させる場合などで使い勝手がよく、対策として採用される方が増えてきています。柔軟な設計ができる分、落とし穴に落ちないようにしっかりとリーガルチェックが必要です。検討される場合は専門家に相談することをお勧めいたします。