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2023.04.19
兄弟姉妹なのに揉めてしまう訳
目次
我が家は関係ないは本当に大丈夫?
相続のお話しをさせていただく時に、よく皆なさんから出てくる言葉があります。その言葉とは、我が家はお金持ちじゃないから心配ないという言葉と、我が家の子供たちは仲が良いので心配無いというものです。しかし、毎年家庭裁判所で争われている方の7割以上の方が資産額5000万円以下です。その内の訳半数近くの方が資産総額1000万円以下で争われています。では何故、資産額からすると、決してお金持ちではない方が、しかも兄弟姉妹で争われたりするのでしょう。
争いごとの原因は
日本人の資産の内容を見てみると、多くの方が不動産を中心とした内容で資産を保有しています。現預金だけで資産を保有されている方は、ほとんどおられないのが現状です。したがって複数の兄弟姉妹がいる場合に、資産の分け方や取り分などで、揉め出していくことがよくあります。例えば、Aという土地とBという土地がある場合などで、A土地は、小さいけど都心にあり賃貸物件が立っていて賃料収入がある物件。B土地は、面積は大きいけど地方にあり地目も畑などという場合を、想像してみるとわかりやすいかもしれません。大抵の方は、A土地が欲しいということになりB土地はいらないと言われます。
このように、分け難い財産で保有されている場合は、分け方の問題や取り分に対する不公平感が揉め出す火種になってしまうことがよくあります。
兄弟姉妹には遠慮はない
兄弟姉妹で揉め出してくると、皆さんの感情が高揚してきて、相手方に対する表現が変わってくることが、よく見受けられます。例えば、妹さんからお兄さんに対して、お兄ちゃんは昔からこうだよね!!とか、○○は小さい頃から変わらないな〜などと、まるで小学生のおやつの取り合いのような揉め方に発展していきます。兄弟姉妹は、お互いに小さい頃から一緒に育っていますので、お互いの性格や長所・欠点を含めてよく知っている間柄です。したがってお互いに自己主張し合うことができる遠慮のない関係だということができます。
仲の良い兄弟姉妹も環境の変化で
兄弟姉妹が皆揉めているかというと、そんなことはありません、全く揉めることなく相続が無事完了する方が多くいられるのも事実です。しかし、現在仲が良くて良好な関係だとしても、残念ながら揉めてしまうことがあることも事実です。では何故、仲の良い兄弟姉妹が揉めてしまうのか、その多くの場合、環境の変化があることが考えられます。幼い頃はご両親と兄弟姉妹が一緒に生活をして、同じ空間を共有していますが、成長し結婚をした場合などは別居となり、新しい家族が生まれて幼少の頃とは別の家庭が出来上がります。そうなると1年中一緒に生活しているのは新しくできた家族との生活であり、兄弟姉妹とはだんだん別家庭での生活となります。このような環境の変化で、仲の良かった兄弟姉妹でもお互いの主張に違いが出てきて、結果として揉め出してしまうと言うことがあります。
揉めないようにするためには
先ほど述べたように、揉めたくて揉めている訳ではなく、環境の変化や家族構成の変化などで揉めてしまうような場合、揉めてから修復するのはかなり困難であると言えます。では揉めないようにするためには何をすれば良いのでしょう。なんといっても仲の良い間の事前対策だと言えます。では事前対策にはどのような方法があるのでしょうか。一言で事前対策と言っても資産の内容や相続人の人数などで対策することが必要な項目が変わってきます。それと重要なことの一つとして、被相続人(資産を遺される方)の意思もあります。資産を遺す方と、その資産を受け継ぐ方、それ以外のご家族の方全員が納得されて合意できていれば、揉めることも回避することができると思います。そのためにはご家族が揃われる時などに、全員で話し合いを行い事前に合意するための準備をし、合意できたら遺言書などを作成しておくことが望ましいでしょう。
対策したいけど親には言いにくい
資産を受け継ぐ方の中には、今のうちに対策はしたいけど肝心の被相続人(資産を遺される方)には、なかなか言いにくいと言う方も、少なくありません。たしかに遺言とか相続と言う単語は、死をイメージされる方もおりますので、子どもが親に対して言うことはハードルが高いと思います。それでは、どのような方法があるのかを考えてみたいと思います。まず一つ目は、終活セミナーなどに親子で参加されることが有効です。現在いろいろな終活セミナーが行われていますので、ご自身に適したセミナーへ親子で参加されることで、子どもから親へは言い難いことを、セミナー講師が変わって伝えてくれます。そしてセミナー参加後に時間を開けずに、親御さんと話すことで、対策の必要性が理解いただくことができます。
対策ってどんなことがあるの
揉めるのはお金持ちだから揉める訳ではないと言うことは、先述したとおりです。では、どのような問題が出てくるのかを考えてみたいと思います。まず、最初に考えていくのは、分け方の問題です。被相続人の方(資産を遺すかた)の意思で遺言などがある場合は、その意思を尊重して分けることになりますが相続人(資産を受け継ぐ方)の、最低限の権利である遺留分(法定相続分の半分)を侵害していないかなどのチェックをしておくことが必要です。また、分けにくい財産(不動産など)の割合が多い場合などは、分けやすい財産(金融資産など)をどう準備するのかを検討して可能な限り準備します。また、遺言書の作成や、家族信託などを締結して分け方に実効性を持たせます。
すでに揉めそうな方は
ご相談させていただいている方のお話を伺っていると、すでに揉めそうな方のご相談も多くあります。その場合に重要なことは、被相続人(資産を遺す方)の意思のご確認です。被相続人の意思を最大限に尊重して、尚且つ遺留分(法定相続分の半分)対策を含めて対策を考案し遺言書(公正証書遺言)を作成します。遺留分については別に書きますが平成30年の民法改正により、原則現金で準備することが必要となりましたので出来るだけ早く対策をしていくことが重要となります。
何もしないと何が起きる?
何も対策をしていないで相続が発生した場合、相続人の間で遺産分割協議書(不動産や銀行預金などの名義変更・解約などで必要)を作成して、相続手続きを行うことになりますが、相続人の間で協議がまとまらないなどの場合、不動産や銀行預金などの名義変更・解約ができないなどに加え小規模宅地の評価減など相続税の特例が受けられないことがあり、思わぬ相続税が発生することもあります。最悪の場合は、家庭裁判所などで調停や審判を受けるなどと言うことになりかねません。また、2024年4月1日以降は、相続後3年以内に相続登記をしない場合は10万円以下の科料の対象になります。
兄弟姉妹で揉めない対策をするには
兄弟姉妹が揉めてしまうのは先述したとおりですが、揉めないための対策をするためにはある程度の時間が必要となることがあります。先程述べた遺留分対策もその一つです。ご自身たちで対策していくのが難しい時には、専門家の助言を受けることをお勧めいたします。相続は民法や相続税法などの法律で規定されています。では、どのような専門家に相談するべきでしょう。例えば、税理士さんと答えられる方も多くいらしゃいますが、多くの税理士さんの専門は法人や個人事業主の会計業務です。弁護士さんは揉めた時の強い味方です。相続対策は、法律だけでは解決いたしません。それは皆さんに感情があるからです。その感情に寄り添って、法律に則り対策を考案していくことが必要となります。
もし対策をお考えの場合はお気軽にご相談ください。