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2023.04.13

遺留分って何?

遺留分って何?

相続が発生すると

相続が発生した場合、遺された遺族の間で永眠された方の財産を分け合う遺産分割をするための協議を行います。その協議で相続人全員の合意が得られた場合、遺産分割協議書を作成し、その協議書を使用して遺産である不動産の名義変更や、銀行や証券会社の預金、株券、投資信託などの金融商品の名義変更を行います。

家族は全員仲が良い?

よく相続のお話をすると、お金もちは大変ですねとか、うちは財産がそんなにないからとか、我が家の家族は全員とても仲がよいのでなどと、お話しされる方をお見受けいたします。そもそも相続は、お子さんが親御さんより先に逝かれるなどということがない限り、全員が経験されることです。家族全員が仲がよいということは、とても良いことだと思いますが、その発想は親子と兄弟・姉妹の関係であり他人が家族の中に存在していないときの発想です。しかし、時間の経過と共に家族という定義が変化することがあります。具体的には息子さんが結婚をし、奥さんとの間にお子さんが生まれるなどして祖父・祖母・父・母・孫というような関係になっていきます。そして、人間ですので祖父や祖母はいずれ人生の終焉を迎えます。

その後のことを考えてみると息子さんにとっての家族の定義が変化してことが考えられます。

争族は家族が変化することでおきる

前述いたしましたように、時間の経過で家族の定義が変化するのが、あたりまえのように起きてきます。

家族の定義が変化したら必ず争いが起きるわけではありませんが、悲しい事実として争いに発展してしまうご家族がいることも事実です。子供時代に仲の良かった兄弟・姉妹も結婚などにより、ご自身の家族の定義が変化してご自身が守りたい相手が配偶者やお子さんになり、兄弟・姉妹ではなくなってしまうからです。

財産なくても争う?

前述で述べましたように、相続対策が必要な方はお金持ちの人で、自分には関係ないと思われている方が非常に多くいらしゃいます。本当にそうなのでしょうか、毎年家庭裁判所で相続の争いが行われ、判決や和解などいろいろな争いが解決されています。そのデータを確認してみると財産総額が5,000万円以下と1000万円以下とを合わせると全体の約76%を占めます。5億円以上の資産家では、わずか1%の方しか争われていません。このことにより多くの人が誤った見識をしていることがわかります。

財産少ないのに争う理由は

では、なぜ資産家よりも一般の人のほうが多く争われているのでしょうか。多くの資産家の方は、会社を経営していたり、賃貸不動産のオーナーであったりと、なにかしらの事業を営んでいるかたがほとんどです。したがって、顧問契約を結んでいられる税理士の方や、金融資産を預けている金融機関から、相続に関する情報を得られています。しかしその情報は、あまり私たちのところへは自動的には入ってきません。平成30年7月に約40年ぶりの民法(相続法)が改正されたときも、マスコミでは他の情報を伝えることで忙しく、一部の新聞などで小さく扱われた程度です。それと、相続はお金持ちの人の問題だという勘違いが、さらに情報を遠ざけているのです。

なぜ勘違いを生む

相続が争族になるのは、分けられる財産が少ないからという理由や、正しい知識や情報が不足しているから相続人の間で揉めることが考えられます。相続対策は税金を多く納めるから必要というイメージが浸透しておりますので、相続に対する勘違いを生んでいるのだと思います。人によってはドラマに出てくるような財産の奪い合いというようなイメージをお持ちの方がいるかもしれません。ドラマの話とは違うと思いますが、分けられる財産と、正しい知識、正確な情報があれば揉めることも少なくなると思います。

揉めないために遺言

ここから、本題の遺留分について書いてみたいと思います。まず、被相続人(亡くなる方)の財産を受け取る権利がある人を相続人といいます。被相続人と相続人の関係と順番について整理すると、例えば、父・母・兄・兄の配偶者・兄の子・妹というような一般的な家族がいたとして、父が被相続人の場合、相続人は、母・兄・妹の3人となります。この場合母2分の1、兄4分の1、妹4分の1というのが法定相続割合ということになります。遺留分とは、その法定相続割合の2分の1となります。だれが法定相続人となるのかで法定割合も変わってきます。第1順位(配偶者2分の1と子2分の1)、第2順位(配偶者3分の2と親3分の1)、第3順位(配偶者4分の3と兄弟姉妹4分の1)このように、誰が相続人となるのか、配偶者以外の相続人が何人いるのかで遺留分も変わってきます。保有する財産がキッチリと分けられるとは限りません。そこで被相続人である父は、揉めないように遺言を作成するのです。

遺留分は遺言ありき

揉めないように遺言を作成するときに注意が必要となるのが、遺留分です。遺留分とは法律により保護されている法定相続人が最低請求できる権利をいいます。遺言がなければ相続人全員による遺産分割協議書の作成が必要となります。この遺留分も平成30年の民法改正で、原則現金で支払わなければならなくなりました。例えば自宅と金融資産が少しなどというご家族のような場合に、遺言でキッチリと分けることが出来なければ何らかの対策を事前にとることが必要となります。

対策は全部で4つ必要

ここまで述べてきましたように、相続対策は全ての人に必要なことだと思います。財産の多い方もそうでない方も、遺言は大事なご家族に対する最後のラブレターとなるからです。では、その相続対策ってどのような対策があるのかを分析すると大きく分けて4つの対策に分類されます。最初に行うのが分割対策、誰にどの財産を遺すのかということです。分割することができない場合は、代替手段などを考案することが必要となります。次に納税が必要な場合は、その納税資金を準備することが必要です。納税の場合は現金で一括納付が原則となりまので、事前に試算を行い準備することが必要となります。3つ目は節税対策です。分割できて納税資金をクリアしている場合は節税の模索をいたします。最近はなかなか節税に対して当局も厳しくなってきていますが、節税の方法があれば検討すべきだと思います。

最後の4つ目は

最後は最近社会問題にもなってきている認知症対策です。近年認知症患者が増え続けています。直近5年間では約100万人の患者が増えたとのデータもあります。認知症は要介護4,5の割合が非常に多く、罹患してしまうと完治するのが難しい疾病です。認知症になってしまうと法律行為ができなくなり銀行の預金なども凍結されてしまうリスクがあります。もしご自分が認知症になり要介護などの認定がされたような場合、施設への入所ということもあり得るかもしれません。その場合でも、ご自宅を売却してその費用を捻出しようとしてもご自身では何もできなくなり、ご家族も不動産の売却などはできません。認知症対策は身近なものになってきております。

対策は早ければ早いほど良い

相続の対策は争族にならないように、遺留分を考慮しながら遺言書を作成する。認知症対策には最近では家族信託などが有効とされています。ではその対策はいつから始めるのが良いのでしょうか。対策は早ければ早いほど良いと思います。遺言も自筆証書遺言の法務局での保管制度というのが令和2年7月から始まっておりますので、今までよりもハードルが下がったと思います。気が変われば新しい遺言に書き替えるのもアリだからです。大事な家族はいつまでも仲良くいてもらいたいものです。そのためにも遺言や家族信託なども早めに準備することが大切だと思います。